オタワ愛徳修道女会
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ある信仰者の旅立ち

  この目で見、触れたいのち~69年の生涯を終えた友の凝縮された最期の2週間~について分かち合いたい。 それは信仰者としての生き様であり、母親として子どもたちと残された人々への深い思いだった。

~他者のために生きる~

  彼女は3年前健康診断で腹膜がんと診断され、手術を受け抗がん剤治療に励んでいた。 食事もできなくなり、副作用に苦しむことになる。何日苦しめば落ち着くと経験によって解り、調子が良くなると教会の奉仕、 老人ホームのボランティア、息子のサッカーチームの応援、家族旅行など・・・今日が最後の日と、一日一日を感謝しながら過ごしていた。
  11月に入り、腹水が溜まり苦しさが増す。 子どものために頑張ってきたが、これ以上は体を痛めるだけだと抗がん剤治療を断念。 間もなく胸水も溜まり呼吸が苦しくなってくる。長年の友人であった私は、ご聖体を持って大学病院に見舞う。 食事を前にして「喉が通らないの」と眺めている。時間をかけて一緒に祈りご聖体拝領する。 このような状態であっても他の病棟に入院している友人を見舞いに行く。

あなたへ   家族との時間をとても大切にしていた。 5歳の孫に「おばあちゃん。69歳なのにどうして死ぬの?」と問いかけられたと語っていた。 もう一人の孫は、「おばあちゃんに描いてと頼まれていたので約束を果たしたいの」とホスピスのデイルームでおばあちゃんの似顔絵を描きつづけた。
  12月31日京都から娘が到着。 病室に泊まる。二人は除夜の鐘を聞いて「あけましておめでとう」と笑顔で抱き合った。「これは最高の喜びでした。」と娘さんは語ってくれた。

~最期の一息まで神様へ~

  今まで、沢山の方の最期に関わる機会に立ち会ったが、 「自分のいのちは神様からのプレゼント、十分使わせていただいたのでこれから一つ一つお返ししていきます」と語る友人の生き様に、 圧倒される思いだった。
臨終の時聖母マリアは傍らにおられると信じて、彼女の周りで私たちはロザリオの祈りを繰り返し続けた。 1月13日朝、耳元で詩編をゆっくり唱え、午後4時30分最期に詩編51を捧げた。

  彼女は、子どもたちには、母親の死後困らないようにと細々と教え指示された。兄弟たちにもそれぞれに願いを伝え、孫たちには心からの愛を示した。 「ありがとう」と感謝の言葉を伝えて静かに目を閉じた。 1月13日午後7時 子どもたち孫たちに囲まれて神様のみ元に帰られた。 傍らに留まらせていただいたこの2週間の恵みは生涯の宝である。感謝!

シスター熊谷みわ子


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